この町には本当に何もない。アメリカにスをつけただけで「ここまで違うか!」と思うくらい、何もない。
カスである。
普通アメリカの都市には、モールと呼ばれる商店街のようなものがあるが、そんなものはここには存在しない。皆無である。
買物が出来る所といえばウォールマートと呼ばれるスーパーくらいである。獨協の側のダイエーを一階建てに伸ばしたようなものである。だから、結構広く、色々な物が置いてあるが、そこに無い物はアメリカスに無いといっても過言ではない。
例えばボウリングをやりたいとする。我が津田沼でなら2つ選択肢がある。パルコの裏の方の「ファミリーレーン」か、ダイエーを過ぎ5分くらい歩くとある「エースレーン」である。だが、アメリカスでなら選択肢は一つだけである。
「隣り町へ行く。」
車を100k/hで飛ばし、40分、アルバニーのボウリング場に到着。只、ボウリングは人気のスポーツらしく、待ち時間1時間半は堅い。
そんな、何も無い町アメリカスに6月1日、珍しくニュースがあった。
「タクシー誕生!!」
寮の壁にポスターというかビラが貼ってあった。
「Quick Cab Grand Opening」
一応直訳しておくと「速いタクシー運行開始、凄い」ということである。ようやく20世紀末になってタクシーができるなんて、電気が使えるようになったのはいつのことなのか不思議に思ってしまう。因みに3週間経って、その黄色いタクシーはまだ1台しか見たことがない。
いくらカスでもさすがに映画館は存在する。入館料は1$50¢と安い。また水曜と土曜はGSWの学生証を持っていればタダで見ることができる。先月は「タイタニック」をやっていて、学校でちょっとした噂になった。安くて良いのだが、新作が上映されることは勿論無い。現在アメリカ国内で上映中の「Xファイル」を見たいのだが、それがこの町にくる日は半年先か、はたまた一年先か、それとも来ること自体無いか・・・
(これは1998年6月に執筆したものです。)
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