2005年04月05日

アメリカス事情その1 − 留学エッセイ(アメリカス事情、ほか)

俺の行っている学校GSWはジョージア州のアメリカスという所にある。

小さな学校で(勿論獨協よりも格段に広いが)学生は2500人ぐらいらしい。数は分からないが、黒人がたくさんいて、また留学生も結構多い。今現在、俺の知る限りでは、日本、韓国、中国、台湾、タイ、フィリピン、オーストラリア、インド、パキスタン、ケニア、モロッコ、ウガンダ、スペイン、ドイツ、イギリス、ルーマニア、スウェーデン、ロシア、カナダ、ブラジル、エクアドル、コスタリカ、アルバ、トリニダード・トバゴなどから留学生が来ている。全部わかるかな?特に最後の二つ。


GSWにはELIという英語学校みたいなものがあるため、日本人が大量にいる。その数約25人。半分がELIの連中である。

この学校(というかジョージア州全部)は4学期制というのをとっていて、1学期は3ヶ月弱とかなり短い。学期毎に単位がもらえるため、1学期に取る授業は普通3つ(15単位)である。毎日1時間ずつ同じ授業があるので、課題などがあると大変だが、試験は3つしかない。獨協みたく10数個ということはありえないから気が楽である。

春学期に取った授業は「英作文」と「社会学」、「プログラミング」である。「社会学」は教科書を1冊読まねばならなかったので、獨協のそのへんの授業と比べると大変だが、比較的楽だった。課題もなかったし。

只、「プログラミング」では、授業を受ける為に隣町、アルバニーまで行かなければならなかった。(車で40分)この授業は週に1回のため、5時間(!)コンピュータの前に座って、先生(インド人)のめちゃめちゃなまった英語で授業を受けた。休憩は10分1回だけ。

「英作文」の方はもっと大変だった。毎週1つ作文(400単語)を書かせられた。またテストが2回あり、その為に小説を読まなければならなかった。まず最初の3週間で一冊。その小説は240ページあった。先生は2回読めといっていたが、結局2回目を読み終えることはできなかった。テストは・・・まあまあ。

そして、次の4週間でもう一冊。今度の本はつまらない上に字が小さく、360ページあった。ぜんっぜんおもしろくもなく、読むたびに眠くなってしまうので、テストの前日に読み終えるのがやっとだった。テストはまあまあだったので助かったが。

最後の試験では、2時間で作文を1つ仕上げないとだめだったんだけど(不可能)、先生に頼んで、留学生用に30分の延長時間をもらい、何とか無事に単位を獲得することができた。ふー。

こちらでは成績の付け方が異なり、90以上がA、80以上でB、70でC、60でDである。Cが普通の成績とみなされる。自分の専攻や英作文の授業でDを取ると、一応単位はもらえるが、もう一度その授業を受けてC以上を取らないと卒業できない。日本の大学はなんて優しいんでしょう。80以上でAをくれるし、60とればオッケーだし。

残念なことに4学期制とももうおさらばなのさ。ジョージア州全体で2学期制に移行してしまう為、これからは一学期4ヶ月で5つ授業を取らねば・・・はぁ・・・

こっちに来て思ったことは、やはり教科書は高い。普通のもので30〜40$(現在1$140円!!)はするし、少し厚いものになると50〜60$はザラである。College Algebra(代数幾何かな?)の授業では、5cm以上の厚さの教科書を使い、80$近くすると思う。勿論のことだが、教科書を買っただけで単位がもらえるような授業は存在しない。自分の著書を教科書にして印税を稼ぐという真似をする教授自体いないはずである。

只、念のために言っておくと、この3流大学GSWでは、真面目に勉強する学生はそんなに多くない。留学生と、勉学に目覚めたおじさんおばさん連中くらいだろう。

アメリカ人の大半はスポーツかフラタニティー(ビバリーヒルズ青春白書では「社交クラブ」と訳されている。結束が強く、テニスをやらないサークルのようなものか。Σ(シグマ)やφ(ファイ)などのギリシャ文字の名前がついており、全土に広がっている。)の方に夢中である。

特にフラタニティー連中は、週末金曜の授業が終わると何処かに旅行に行ったり、自宅に帰ったりするため、木曜日の夜にパーティーを開く。勿論毎週。だから金曜は授業に出ないことが多い。また月曜日も、旅行の疲れからか休みがちである。まあ毎日同じ授業があるからできることだが。

代数幾何といえばアメリカ人は数学に弱い。めちゃくちゃレベルが低いのである。例えば日本人にとって√2は1.414・・・(ひとよひとよに・・・)というのは基本中の基本であるが、彼らにとっては時には九九が基本ですらない。彼らは基本的に計算は電卓がやってくれるという考え方らしい。スーパーに買い物に行った時の話である。買い物をし、レジに行ったら値段は10$61¢であった。俺は11$と11¢を出したのだが、レジのおばさんは早まって11$と打ってしまった。機械にはお釣り39¢と表示されてしまった。

おばさん、ピンチ!

おばさんはちょっと困った顔をしてから、おもむろにペンと紙を取り出し、何かを書き始めた。

計算中。

100歩譲って計算が必要だとしても、39に11を足せば答えはまあ長くても10秒あれば出ると思うが、そのおばさん、何処をどう計算しているのか、一分近くかかったが、何とか無事に釣りのクォーター(25¢)2枚をもらうことができた。

めでたし。めでたし。

(これは1998年6月に執筆したものです。)


アメリカス事情その2も読んでみたい
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