2006年02月01日

穴埋め問題を撲滅しよう! − 50の気づき(4)

日本で英語の試験を受けるとこういう問題が時々出てきます。



問.空欄に入る語を書きなさい。

  私には彼が何を言いたいのかわからない。
  I can't (  ) (  ) what he wants to say.



英語力コンサルタントとして、声を大きくして言いたいのですが、こういった
空欄の穴埋め問題は撲滅(ぼくめつ)すべきです。

この形式で問題を出すと、採点する方はとてもやりやすいんですね。
機械的に○×をつけられますから。

でも、英語を学ぶ人にとっては、ほとんど勉強にならない問題形式なのです。

#いや、むしろ害の方が大きいかもしれません。


確かに make out(これが答えですね)というイディオム(とされるもの)が
あり、通常否定文で使います。

  I can't make out what he wants to say.

という文章にすれば、確かに設問の日本語に対応します。

でも、make out という表現を使わせないといけない理由は一体何でしょうか?


設問の日本語と同じような事が言いたいならば、少し幅を持たせて解釈すれば

  「私は彼の言いたいことがさっぱりわからない。」

  「私には彼の言おうとしていることがわからない。」

  「彼は何を言いたいの?」

のどれだって意味はほとんど一緒なわけです。

さらに、状況次第ですが、次のような言い方でも同じ事が伝えられます。

  「あいつは自分で何を言ってるかわかってるのか?」

  「あいつの言ってることはいつもわからない。」

  「あいつは、いつも支離滅裂だ。」

こういった言い方のどれかを用いて、相手に言いたいことが伝えられれば、
それは英語で用を足せているわけですから、十分に素晴らしいことです。


もう少し高いレベルを期待するのであれば、状況や文脈も踏まえた上で、
その場に相応しい表現が使えればよいのです。

そうやって言葉を選択できるということが、高いレベルで英語ができるという
ことである筈です。


しかし、上の穴埋め問題は単語クイズに過ぎません。



問.空欄に入る語を書きなさい。

  私には彼が何を言おうとしているのかわからない。
  I can't (  ) (  ) what he wants to say.



という体裁になっているから、英語の試験っぽく見えますよね。

でもその本質は



Q.「わからない」ということを表す、2単語からなる表現を答えなさい。
A.make out



ということを結局やっているだけなのです。

バカらしいとは思いませんか?


英語の広い世界の中で、重箱の隅に当たるようなごく一部の表現を取り上げて、
偉そうに問題としているだけなんです。


そうそう、偉そうと言えば、東京の山手線に載っていると、社内モニターに
時々英語の問題が出るんです。変な犬が出てきて、日本語の単語・表現を出し
て、それを英語で言いなさい、と。

数秒後に答えが出て、英会話でのお役立ち度が5段階で表示されるんです。

英会話でそんなに使わないような表現を取り上げて
(例えば問題が「花壇」で、答えが「flowerbed」とか)、

  お役立ち度★★★★☆

なんて、犬が偉そうに紹介しているのでちょっとムカムカ来ます。(笑)

すみません、脱線しました。


言いたいことはですね、

  「私には彼が何を言いたいのかわからない。」

ということを表現したいときに、英語として正しい言い方を求めるのであれば

  I don't understand what he wants to say.

でも問題ないし、

  I don't know what he's saying.

でもいいし、

  I have no idea what he's trying to say.

でもいいのです。

これ以外にもいくらでもあります。


でも、日本ではこんな↓問題がよく出されるのです。

  I can't (  ) (  ) what he wants to say.

鎖で縛り付けられて、がんじがらめにされているようなものです。

こんな問題の出し方をしたら、ネイティブでも低い点数しか取れません。

括弧にmake outと入れることができないと×を付けられてしまうんですから。


言葉を使うという行為は、本当はとても創造的な筈です。

それを単なる単語クイズに貶(おとし)めてしまう、空欄の穴埋め問題は、
撲滅したいと心から思います。

#ついでにあの変な犬も。
#って、あの犬のファンの方がいらっしゃったらごめんなさい。

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[ポイント]

◇言葉を使うことは、とても広い世界で行われる、創造的な行為なんです。
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posted by ロイ at 07:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 50の気づき(4)
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