(1)must
"That must be it!"
(あれに違いない。)
この文で助動詞mustには強い確信がこもっています。
もし断言したいのであれば
"That's it!"
(あれだ!)
のように助動詞を使いません。
助動詞を使うことで、そこに感情を込めているのですね。
mustは強い確信です。
状況などから判断して、強い確信が持てる場合にmustを使います。
例えば
"You must be Mr. Koike. I've heard a lot about you."
(あなたが小池さんですね。お話はいろいろと伺っています。)
この場合には、小池さんについていろいろな話を聞いていて、実際に見たら聞いていたとおりの人だった、という状況が目に浮かびます。
強い確信までいかなくて、もう少し弱めに「〜の筈だ」と言いたい場合には
"That should be it."
(あれの筈だ。)
のようにshouldを使います。
今回のストーリーでは、mustを使っていますが、少し先の人集り(ひとだかり)のところにルノワールの例の名作があることを確信したわけですね。
足早に進むときの心臓の高鳴りが聞こえてくるようです。
なお、どの場合でもThatとitを強く発音して下さいね。
(2)the Renoir
"So, this is the Renoir."
(これがそのルノワールだね。)
いきなりこういう言い方ができるとレベルが高いです。
Renoir(ルノワール)というのは人の名前、つまり固有名詞ですね。
a Renoir のように不定冠詞のaをつけることで「1枚のルノワールの絵」を表現することができます。
別に絵に限ったことではなく、状況次第ですが、作品を表したりできますし、学校の参考書で
"He is an Edison."
(彼はエジソンみたいな人だ。)
のような例を見たことがありませんか?
まず、そういった不定冠詞aの使い方が前提にあります。
定冠詞のtheというのは「何を指し示しているか自動的にわかる」場合に使います。
(ネイティブスピーカーシリーズの大西先生は「1つに決まる」という言い方をされています。)
ストーリーの中では、ルノワールといえば
「舟遊びする人々の昼食(Luncheon of the Boating Party)」
のことしかなかったんですね。
ですのでthe Renoir(例のルノワールの作品)という言い方をしているのです。
(3)時制の一致
"I didn't know it was this big."
(こんな大きいなんて知らなかった。)
どうして目の前にある絵に対して
it was this big.
のように過去形を使っているの?
現在のことだから
it is this big.
じゃないの?
という疑問をお持ちかもしれません。
でも、過去形を使って間違いではありません。
むしろ過去形を使う方が自然です。
時制の一致というやつですね。
その前にある
I didn't know...
(知らなかった)
という箇所が過去形なので、それに引きずられて
it was this big.
のようになっているのです。
なぜ引きずられるか。
それは英語はそういうものだとお考え下さい。
通常は引きずられるのです。
ただし、引きずられない(時制の一致を行わない)場合もあります。
それは「現在形で言いたい」という強い気持ちがある場合です。
・・・これ以上の説明はかなり長くなってしまいます(時制の説明になってしまいます)ので、すみませんが割愛させて頂きます。
(4)参考書
興味がおありの方のために参考書を挙げておきますのでよろしければご覧下さい。
ネイティブスピーカーの英文法
時制の使い方や、時制の一致のルール、冠詞(aとthe)などがイメージとして理解できる英語学習者の必読書です。