FrankというMuggleの男性が、3.5mはある巨大なヘビが彼に向かってくるのを見た時の場面が、こう描写されています。
"Horrified, transfixed, Frank stared at it..."(UK版P17)
stare という動詞は「じっと見る」という意味だと辞書などに載っています。
でも「じっと見る」という訳語では、そのニュアンスが伝わりません。
stare というのは、むしろ
「(恐怖や驚きで目を見開いて)じっと見る」
といった方がいいでしょう。
この文章の言葉の選び方はなかなか味わい深いんです。
まず horrified。
horror で「恐怖」。つまり、「恐怖に襲われる」ということですね。
次に transfixed。
この単語自体はあまりなじみのないものかもしれませんが、分解すると意味が想像できます。
trans というのは「越える」とか「貫く」ということを表す接頭辞です。
例えばtransmit(伝える)、translate(翻訳する)、transform(変形させる)といった単語に何となくそんな感じがありますよね。
transfix はtrans(貫く)+fix(固定する)ということから、串刺しにするとか、釘付けにするという意味です。
つまり
"Horrified, transfixed, Frank stared at it..."
という文は
「恐怖に襲われ、その場に立ちすくみ、目を見開いてヘビを見つめた」
ということを描写しているんです。
こうやって味わってみると、その情景が浮かんで来ますよね。
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